【どう見るこの相場】菅新内閣は「森より木」?!「各論投資」は目(木)前の株式分割・配当の権利取り

どう見るこの相場

 前任者をこれだけ持ち上げる新首相も珍しい。菅義偉首相である。安倍晋三前首相が、持病の悪化で志半ばで辞職したとその心情をおもんぱかり、7年8カ月に及ぶ在任期間中の功績を讃え続けた。7年8カ月にわたり官房長官として前首相を支え続けてきたのだから否定、無視は自己否定になるからかもしれない。当然、政策の根幹は、「安倍政権の継承」となり、新内閣の閣僚の顔ぶれも、抜擢人事などなく新味に乏しく、主要閣僚はほとんどが留任の居抜き、派閥均衡型となっており、手堅い実務者中心の布陣といわれている。

 要するに菅内閣は、「総論内閣」ではなく「各論内閣」ということだろう。相場格言流に表現すれば「森を見ずに木を見る」政策スタンスである。総論は、「アベノミクス」の踏襲だから、その個々の政策課題の「各論」を実務能力に長けた担当閣僚を活用して一歩でも二歩でもスピード感を持って前に進めることを使命としているわけだ。もちろんそこには、急上昇した内閣支持率を背景に、来年10月の衆議院議員の任期満了を前にいつか政治決断される衆議院解散・総選挙に向けた政治勘も働いているはずだ。

兜町は、この「各論内閣」については先刻承知である。菅官房長官が、自民党の総裁選挙に出馬観測されて以来、実際の出馬表明を経て、関連の個別銘柄を買い上げてきた。格安スマホ株、ふるさと納税関連株、地銀株、不妊治療薬株、デジタル庁関連株などである。この結果、相場全般の「ご祝儀相場」も、限定的にとどまった。4連休前の18日に日経平均株価は、わずか40円高と小反発の域を出ず、総裁選挙出馬表明の9月2日からの上昇幅も、113円と強含み程度の推移である。ただ全般相場が小動きになかでも、引き続き値上がり銘柄数が、値下がり銘柄数を上回っており、「各論投資」はなお健在である。

 さて4連休明け後のマーケットは、依然としてこの「各論投資」が有効だろうか?欧米市場は、4連休中に新型コロナウイルス感染症の再拡大で大きく株価が下落し、東京市場でこの分の調整が懸念されるからだ。調整があるかないのか見定めるキーポイントになりそうな「各論投資」銘柄がある。折から3月期決算会社の中間配当の権利付き最終売買日は、あと1週間後の9月28日に迫っている。この高配当銘柄とさらに同じく権利付き最終日を迎える株式分割銘柄がそれで、権利取りが盛り上がるはどうかでで先行きが見通せるかもしれない。

 そこで今週は、すで株式分割ではチェンジ<3962>(東1)が権利取りで9割高、権利落ちから7割高し、高配当利回り株ではソフトバンク<9434>(東1)が、「親の仇」みたいな菅首相の携帯料金の引き下げに圧力のなか下値抵抗力を発揮しているなど先駆株があることに鑑み、同様の展開を想定しトライすることを提案することとした。

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