生化学工業は23年3月期2Q累計減収減益、通期予想を公表して減収減益予想だが配当予想を上方修正

(決算速報)
 生化学工業<4548>(東証プライム)は11月8日の取引時間終了後に23年3月期第2四半期累計連結業績を発表した。LAL事業が伸長したが、国内における薬価引き下げ影響や関節機能改善剤ジョイクルの前年の反動減、さらに前期計上のロイヤリティーの剥落などで大幅減収減益だった。なお通期の連結業績予想を公表して減収減益予想としたが、配当予想を上方修正した。積極的な事業展開で24年3月期の収益改善を期待したい。株価は9月の直近安値圏から反発して水準を切り上げている。通期連結業績予想の公表で不透明感が後退し、配当予想の上方修正も好感して戻りを試す展開を期待したい。

■23年3月期2Q累計減収減益、通期予想を公表して減収減益予想

 23年3月期第2四半期累計連結業績は売上高が前年同期比15.9%減の172億58百万円、営業利益が56.8%減の26億10百万円、経常利益が43.7%減の36億円、親会社株主帰属四半期純利益が37.4%減の31億41百万円だった。

 LAL事業が伸長したが、国内における薬価引き下げ影響や関節機能改善剤ジョイクルの前年の反動減、さらに前期計上のロイヤリティーの剥落などで大幅減収減益だった。研究開発費は10.4%減の34億07百万円だった。米国で実施中の腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI―6603追加臨床試験の被験者組み入れが完了したため減少した。営業外収益では為替差益が増加(前年同期は37百万円、今期は7億73百万円)した。

 医薬品事業は売上高が27.5%減の116億92百万円、営業利益が76.4%減11億67百万円だった。売上高の内訳は国内医薬品が14.7%減の58億08百万円、海外医薬品が1.5%減の43億84百万円、医薬品原体・医薬品受託製造が12.6%増の14億97百万円、ロイヤリティーが1百万円(前年同期は35億50百万円)だった。

 国内は、関節機能改善剤アルツや眼科手術補助剤オペガン類が薬価引き下げの影響を受け、関節機能改善剤ジョイクルが前年の販売開始(21年5月発売)に伴う出荷集中の反動で減少した。また前期計上のロイヤリティーが剥落した。海外は、米国において単回投与の関節機能改善剤ジェル・ワンが為替の円安も寄与して増加したが、5回投与の関節機能改善剤スパルツFXが出荷タイミングの影響で減少した。中国では包装資材変更に伴って第1四半期の出荷が無かったため減少(8月から出荷再開)した。医薬品原体・医薬品受託製造は、医薬品原体が前年並みだったが、海外子会社ダルトン社の医薬品受託製造が円安効果で増加した。

 LAL事業は売上高が26.7%増の55億66百万円、営業利益が30.7%増の14億43百万円だった。海外子会社ACC社のエンドトキシン測定用試薬、グルカン測定体外診断用医薬品、受託試験サービスの受注が増加し、国内販売も堅調だった。

 なお四半期別に見ると、第1四半期は売上高が83億07百万円、営業利益が11億26百万円、経常利益が17億14百万円、第2四半期は売上高が89億51百万円、営業利益が14億84百万円、経常利益が18億86百万円だった。

 通期の連結業績予想については、関節機能改善剤ジョイクルのショック、アナフィラキーの発現に関する原因究明の進捗を見極める必要があるため未定としていたが、11月8日付で公表し、売上高が22年3月期比3.9%減の335億円、営業利益が62.2%減の17億円、経常利益が46.2%減の29億円、親会社株主帰属当期純利益が29,0%減の26億50百万円とした。配当予想については11月8日付で第2四半期末2円、期末2円、合計4円上方修正して、22年3月期比4円減配の26円(第2四半期末13円、期末13円)とした。

 売上面は、国内医薬品の数量増加や海外医薬品の円安効果を見込むが、ロイヤリティーの大幅減少や国内における薬価引き下げの影響で減収予想とした。利益面は、研究開発費の減少(通期ベースで11.2%減の80億円)を見込むが、減収影響や為替換算を含む海外子会社の費用の増加などで減益予想とした。なお営業外収益で外貨建資産の為替評価益を見込んでいる。下期の想定為替レートは1米ドル=140円としている。

 セグメント別売上高の計画は、医薬品事業が12.4%減の225億円(国内医薬品が5.2%減の108億50百万円、海外医薬品が13.0%増の86億50百万円、医薬品原体・医薬品受託製造が15.1%増の30億円、ロイヤリティーが39億88百万円減少の1百万円)で、LAL事業が20.2%増の110億円としている。

 なお第2四半期累計の利益が通期利益予想を超過達成の形となっているが、下期に海外子会社における受託試験サービスの売上減少、研究開発費の集中発生、燃料費高騰に伴う費用の増加、半導体不足に伴って抑制していた工場定期メンテナンスの集中発生などを見込んでいる。24年3月期の収益回復を期待したい。

■株価は戻り試す

 株価は9月の直近安値圏から反発して水準を切り上げている。通期連結業績予想の公表で不透明感が後退し、配当予想の上方修正も好感して戻りを試す展開を期待したい。11月8日の終値は903円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS48円12銭で算出)は約19倍、今期予想配当利回り(会社予想の26円で算出)は約2.9%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1179円46銭で算出)は約0.8倍、そして時価総額は約513億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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