商いは1日だけの喜憂にあらず=犬丸正寛の相場格言

【先人の教えを格言で解説!】
(犬丸正寛=株式評論家・平成28年:2016年)没・享年72歳。生前に残した相場格言を定期的に紹介。)

■商いは1日だけの喜憂にあらず=犬丸正寛の相場格言

株式投資は短期的な利益や損失に一喜一憂しないことが重要です。一回の取引で大きく稼いだり、失敗したりしても、それが全てではありません。長期的な視点で、安定的に資産を増やすことを目指しましょう。

株式市場に興味のある方の中には、自分の成功体験を誇らしげに話す方がいらっしゃいます。特に、人気の高い銘柄が急騰した時に、自分の見通しが当たったと喜ぶ方が多いと思います。それはもちろん、素晴らしいことです。しかし、そのような方が、投資全体で見て大きな利益を得ているかというと、そうとは限りません。実際には、損失の方が多くなっていることも少なくないのです。

これは、スポーツの応援と似ています。自分の好きなチームが大差で勝った時には、優勝が近づいたと盛り上がります。しかし、シーズンが終わってみれば、優勝どころか下位に沈んでいることもあります。

株式投資はプロ野球と同じように考えることができます。プロ野球は年間に約140試合あります。優勝するには、6割以上の勝率が必要です。つまり、約84勝する必要があります。一回の試合で大勝したからといって、年間の勝率が良くなるわけではありません。逆に、大敗したからといって、諦める必要はありません。大事なのは、一喜一憂せずに、年間を通じての成績を見ることです。

株式投資では、年間の取引日数は野球よりも多く、約245日あります。野球では、全試合を消化しなければなりませんが、株式投資ではそうではありません。『買うべし、売るべし、休むべし』という言葉があるように、自分の判断で休むこともできます。ここが非常に重要です。無理に取引をすると、株に依存してしまう恐れがあります。迷った時や、調子が悪い時は、休むことも大切です。

もちろん、一回の取引で利益を得たり、損失を出したりすることは避けられません。しかし、それによって「喜んだり」、「悲しんだり」することはありません。むしろ、大きく稼いだり失敗した時は、偶然の産物だと思うくらいの冷静さが必要です。株式投資は「勝負ごと」です。勝負事には一喜一憂は禁物です。

ただ、野球と株式投資の違いで非常に注意すべきことがあります。野球は10試合中9試合勝てば素晴らしい成績です。しかし、株式投資では、10回の取引で9回勝っても、1回の損失が大きければ、意味がありません。9回稼いだ分を、たった1回で失ってしまうことはよくあることです。野球では、0対10で負けても1敗です。しかし、株式投資では、1回の損失の影響が非常に大きいのです。(情報提供:日本インタビュ新聞社・Media-IR 株式投資情報編集部)

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