サイトリ細胞研究所の子会社、重症虚血肢治療の実装化へ名古屋大学と共同研究契約を締結

■2022年多施設試験で高い安全性と有効性を実証、29名の患者で検証

 サイトリ細胞研究所<3750>(東証スタンダード)の子会社、サイトリ・セラピューティクスは5月21日、名古屋大学と重症虚血肢に対する治療法の実装化を目的とする共同研究契約を締結したと発表。研究の中核となるのは、脂肪組織由来の再生細胞(ADRCs)を用いた治療法であり、循環器内科学の室原豊明教授が研究代表を務める。今回の取り組みは、再生医療分野での新たな進展を目指すもので、名古屋大学との連携により医療現場での応用可能性が高まることが期待されている。

 サイトリグループは、細胞治療サービスや医療機器事業を展開しており、2022年には腹圧性尿失禁向けのセルセラピーキットが国内で製造販売承認を取得している。また、名古屋大学を中心とした8施設で行われた臨床研究(TACT-ADRC多施設試験)では、重症虚血肢患者に対しADRCsを用いた筋肉内注射療法を実施した結果、90%以上で四肢切断が回避されるなど、治療効果の高さが確認されている。このような背景を踏まえ、ADRCsを基盤とする治療法の早期実装化に向けた共同研究が進められる。

 同共同研究は、再生医療技術の社会実装を加速させるとともに、患者のQOL(生活の質)向上にもつながる可能性がある。なお、同件に伴う業績への影響は、2025年5月15日時点での業績予想にすでに織り込まれており、今後必要に応じて情報開示を行うとしている。名古屋大学とサイトリグループが連携することで、医療の現場に革新的な選択肢を届ける意義は大きく、今後の研究進展が注目される。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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