ispace EUROPEが月面輸送でユネスコと連携、月へ届ける言語遺産

■マイクロローバーに搭載、月の南極・シュレディンガー・クレーターを目指す

 ispace(アイスペース)<9348>(東証グロース)は5月21日、同社の欧州法人ispace EUROPEが、米国のBarrelhand Inc.と連携し、ユネスコが支援する文化・言語遺産保存プロジェクトの一環として、記憶ディスク「Memory Disc V3」を月面に輸送する契約を締結したと発表。「Memory Disc V3」は直径19ミリの超小型ディスクで、ナノフィッシュ技術により約4GBの象形文字相当の情報を刻印。月面探査ミッション「APEX 1.0」に搭載され、シュレディンガー・クレーターへの着陸を目指す。高耐久素材であるニッケルを使用し、数百万年単位での保存が可能とされる。

 このディスクは、過酷な宇宙環境にも耐える高解像度情報媒体であり、電子機器を用いずに情報を読み取れる点が特長。ユネスコが推進する「国際先住民族言語の10年(2022~2032年)」に基づき、消滅の危機にある言語とそれに紐づく文化・知識体系を保存・継承する目的を担っている。先住民族の言語が世界の言語の約4割を占めるなかで、その保護は人類共通の課題であり、本プロジェクトはその象徴的な一歩とされる。

 ispaceは日・米・欧の三極体制で宇宙開発を進め、今後も文化的意義を持つペイロードの輸送を継続する方針。2025年にはミッション2で月面再着陸に挑戦し、2027年にはミッション3・4を予定する。宇宙を単なる探査対象ではなく、人類の記憶と価値を未来へ託す場と捉える試みは、新たなフロンティア時代の到来を象徴している。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■半導体パッケージの微細化に対応、LDI露光で1.0μm幅パターンを実現  旭化成<3407>(東…
  2. ■物流費やエネルギーコストの上昇受け、企業努力では限界  亀田製菓<2220>(東証プライム)は5…
  3. ■約100種類の実践講座で次世代エンジニアを育成  トヨタグループ5社は5月22日、AI・ソフトウ…
2025年7月
 123456
78910111213
14151617181920
21222324252627
28293031  

ピックアップ記事

  1. ■祝日と金融政策が交錯する7月  7月は、7月21日が「海の日」が国民の祝日に制定されてからフシ目…
  2. ■「MMGA」効果の造船株・海運株は「海の日」月間キャンペーン相場も加わり一段高を期待  あと1カ…
  3. ■選挙関連の「新三羽烏」の株価動向をウオッチ  足元では野党が石破内閣への内閣不信認決議案提出を見…
  4. どう見るこの相場
    ■米、イラン核施設を電撃空爆、緊張激化へ  「2週間以内」と言っていたのが、わずか「2日」である。…
  5. ■イスラエル・イラン衝突でリスク回避売りが優勢に  イスラエルのイラン攻撃を受け、13日の日経平均…
  6. ■ホルムズ海峡封鎖なら「油の一滴は血の一滴」、日本経済は瀬戸際へ  コメ価格が高騰する「食料安全保…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る