【マーケットセンサー】地銀株と電力株に再評価の波、金利と円相場が導く次の主役

■割安地銀と円高メリット株に光、政策転換を先取りする動き

 金利敏感株と円高メリット株が静かに注目を集めている。地銀株では、中間決算を前に業績上方修正や増配を発表する動きが相次ぎ、業界再編も加速している。群馬銀行<8334>(東証プライム)、第四北越フィナンシャルグループ<7327>(東証プライム)などは増配を同時に発表し、株価は一時年初来高値を更新した。阿波銀行<8388>(東証プライム)、東邦銀行<8346>(東証プライム)も中間業績を上方修正し、東邦銀行は通期業績見直しを示唆する。PERが9倍前後、PBRが1倍割れの地銀株は依然として割安水準にあり、金融再編と利ざや拡大期待を背景に再評価の余地を残す。地方金融再編の動きでは、千葉銀行<8331>(東証プライム)と千葉興業銀行<8337>(東証プライム)が経営統合に合意し、八十二銀行<8359>(東証プライム)も長野銀行の吸収合併契約を締結した。地方銀行の再編と株主還元強化が進み、ディープ・バリュー株としての存在感が増している。

 一方、為替市場では円高基調が断続的に意識され、円高メリット株にも再び関心が向かう。とくに電気・ガス株はかつて円高局面で恩恵を受けた代表格であり、東証プライム市場の業種別値上がり率でも上位に入る。東北電力<9506>(東証プライム)や中国電力<9504>(東証プライム)、J-POWER(電源開発)<9513>(東証プライム)などはPER5倍前後の低水準にあり、配当利回りも3%超と高水準を維持している。AIデータセンター建設ラッシュによる電力需要拡大も追い風となり、過去の「円高不況株」から「AIインフラ株」へと評価軸が変わりつつある。

 政治・金融政策面でも、連立内閣協議が市場の注目材料となる。ハト派総裁への期待が先行する中、金利政策の方向性は再び焦点となるが、その裏で金利上昇局面を先取りした地銀株や円高メリット株に「待ち伏せ投資」を行う投資家も増えている。金融緩和から正常化への過渡期にある日本市場では、金利感応度と為替感応度の双方をにらんだ投資戦略が、次の主役を決める可能性がある。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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