富士通とインド理科大学院、反応拡散系の高速化AI技術を共同研究、Arm CPU「FUJITSU-MONAKA」に最適化

■化学反応・電力需要など複雑シミュレーションを高速処理、2030年度実用化を目指す

 富士通<6702>(東証プライム)とインド理科大学院(IISc)は10月1日、自然科学・工学分野で用いられる反応拡散系のシミュレーションを高速化する先端AI技術の共同研究を開始した。両者は、化学反応やスマートグリッドにおける電力需要などの複雑な現象をグラフネットワーク上で表現する新しいアルゴリズムを開発し、現実社会の多様な課題を実用的な時間で解くことを目指す。研究では、富士通が開発中の省電力・高性能なArmベースCPU「FUJITSU-MONAKA」シリーズの性能を最大限に生かすことを前提とし、2030年度までに反応拡散系のシミュレーションを低消費電力で高速処理できるソフトウェアの実現を目標とする。

 「FUJITSU-MONAKA」は2027年のリリースを予定し、独自技術と2ナノメートルプロセスを採用した次世代CPUである。AIや高性能計算(HPC)、データ解析など幅広い分野の需要に応える性能と電力効率を兼ね備え、次世代データセンターの運用コスト(TCO)削減に寄与する。一方、IIScはインド屈指の理工系研究機関として知られ、数多くの革新的研究を主導してきた。今回の連携は、富士通の計算技術とIIScの理論研究を融合し、持続可能な社会の実現に資する基盤技術を創出する狙いがある。反応拡散系をグラフネットワークとして処理することで、電力需要予測の迅速化や再生可能エネルギーの最適利用、CO2削減などへの応用も期待されている。

 研究体制では、両者が共同で要件を策定し、IIScが新アルゴリズムや計算理論の研究を担う。富士通はインド富士通研究所(Fujitsu Research of India Private Limited)と連携し、理論成果を実装して評価を行い、業界標準に適合するソフトウェアフレームワークの開発を進める。グラフネットワークを用いた解法はCPUワークロードに適しており、「FUJITSU-MONAKA」の活用によって需要予測処理の電力消費を削減し、リアルタイム化を実現する見込みだ。両者は今後も共同研究の成果を基盤に、先端AIと省電力計算の融合により、エネルギー・科学技術・社会インフラ分野の課題解決を推進し、イノベーションを通じた信頼ある社会の構築に貢献していくとしている。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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