NTT、LLMの精度と安全性を両立する新手法を発表、問い合わせ履歴の漏洩リスク低減へ

■重要語を強調し正確な応答を実現、ノイズの影響を理論的に克服

 NTT<9432>(東証プライム)は7月7日、大規模言語モデル(LLM)における自動応答精度を向上させつつ、過去の利用者データの漏洩リスクを抑える新技術「Plausible Token Amplification(PTA)」を発表した。差分プライバシーに基づきノイズを加えることで安全性を担保する従来手法は応答精度の低下を招く課題があったが、同社はこの影響を世界で初めて理論的に分析。無関係な語の除外や重要語の生成確率の強調により、ノイズが加えられた例題からも正確なルール推定を可能にした。これにより、安全性と応答精度を両立する新たな仕組みが実現された。

 同技術は、定型化されたチャットボット応答や分類タスクにおける実用性が確認されており、実際にニュース記事のカテゴリ分類タスクでは、従来手法よりも高い精度を達成。加えてノイズを加えない通常の文脈内学習と同等の精度を実現した。PTAは、例題が入力に使用されたかどうかを他者が推測しにくくすることで、問い合わせ履歴そのものが機密情報となり得るような場面でも安全な活用が可能となる。ただし、出力された応答に機密情報を含まないことを保証するものではなく、あくまで統計的識別を困難にする点に主眼を置いている。

 今後はPTAにおける重要語の強調処理の高度化や、自由記述形式など柔軟な入力形式への対応も視野に入れている。医療、金融、行政など機微なデータを扱う分野において、将来的な漏洩リスクに備えたLLM活用が一層期待される。なお、同成果は7月13日からカナダで開催される機械学習国際会議ICML 2025にて発表される予定である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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